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11月2日、後編。
ケータイが鳴った。
里の母からだ。

胸騒ぎがして、すぐに出る。「どした?」

母、消え入りそうな声で「ちゃんたんがいなくなった」

まさか。


高齢のため、関節がこわばり、まっすぐに歩けないちゃんたん。
目も耳も不自由だから、振動だけしか分からない。
走ったら、心臓が苦しくてすぐに倒れちゃう。

まして、この冷たい雨の中。


母、「夕方から、ずっと探すのに、見えんだがん。」泣きながら、やっとのことでその一言を言った。

「今、はてるまのおうちから帰り道。ぱにーニィさんとすぐ行くから、待っとってよ。」


すぐに警察署の遺失物届出係に電話。
「詳細はわからない。本人に聞いて改めて掛け直しますから」と、迷い犬の特徴だけ知らせる。

動物を収容する生活環境局は、休みのため、電話が通じない。


とおるちゃんのケータイにもメール。
「ちゃんたんを捜すの。お願い、手伝って。」


路上や路肩に倒れているちゃんたんの姿が無いか、ゆっくり探しながら里へ向かった。
ぱにーニィはさとこを降ろし、すぐに捜索へ。


母はぽろぽろ涙をこぼし、放心状態でちゃんたんの荷物に寄りかかっていた。


家中の電灯を点け、隙間を探す。
庭も、軒下もいない。


呼んでも聞こえないから、ただ一心に探す。

松林、草むら、くぼみ、お墓、畑、工場、パチンコ屋周辺。

よたよたして左に傾くから、左側にすがりながら進んだかもしれない。

あるいは、トラックの風圧におびえて道路の反対側まで行ったかも。


雲が晴れ、濡れた茂みを月が煌々と照らす。
とおるちゃん、ありがとう。


民家があるところなら、保護してもらえるから、とにかく人気が無い場所を集中的に探す。


里にもどると、さとこ号があり、ぱにーニィの姿はなかった。
この辺の地理は不案内なのに、歩いて探してくれているのかな。
ケータイで呼び戻す。
「とりあえず、打ち切りましょう。帰ってきてください」


母は少し落ち着きを取り戻していた。
「あんたたち、探してくれとったの。ありがとね。」


改めて、警察署に詳細を知らせた。

午前中、玄関のベッドではなく下駄箱の下に横になってて、母が「あら、ちゃんたん、そんなとこで寝て、どうしたの」と声をかけたらしい。
昼過ぎに外出し、音楽院から帰って病院に連れて行こうとしたら姿がなかったとのこと。


外出時にはハーネスをつけるけど、普段は首輪をしていなかったから、鑑札もない。

野良犬だと思われたらどうしよう。


今のところ、警察署に連絡は来ていないとのことだった。


今日できることは、生活環境局への連絡方法をさがして、情報が寄せられるのを待つだけ。


隙間の無い柵の中から忽然と消えたちゃんたん。

前日、さとこが最後に見たときには、目を開けたまま寝息を立てていて、珍しいなーと思った。



こんなとき、由布人センセーに訊けたらなあ。

さとこが退職した大雪の年末、ぷる太が行方不明になったときには、「生きてるし、雪の中にはいないから保護されているよ」って断言してくれた。

母も兄も信じなかったけど、ホントだったもんね。


帰りに寄ったご飯屋さんで、さとこもぽろぽろ泣いた。
冷えた手を熱燗のコップで温める。
ぱにーニィがお味噌汁を三杯お代わりしてくれた。


巣に戻り、生活環境局のサイトを探したら、アドレスがあった。

借りているパソコンはメール送信ができないから、ぱにーニィのアパートから生活環境局に問い合わせメールを送る。
写真も添付。


ちゃんたーん。

どうか、無事でありますように。
由布人センセー、ちゃんたんを助けてー。



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